Kumi Umuyashiki
今を生きる
更新日:2022年2月7日
私たちは「今」、「ここ」にしか存在しないのですが、
心というものは、今、ここに存在することが、とても苦手です。
心ここに有らず。
何かに気を取られていると、人生そのものが、とてもおろそかになっていきます。
Stephen Copeという作家がいますが、ヨガについて様々な本を書いていて、
その中に、「The Great Work of Your Life」というのがあります。
直訳すると、「あなたの人生における素晴らしい仕事」となるんですが、
あなたはどんな役割を果たすために、この世に生まれてきたのかな?
みたいなことについて書いてあって、
以前私はそれを「魂の役割」と、勝手に訳したりしていました。
この本の中には、
「他の人の人生を生きることはできない」というフレーズが、何度も出てきます。 他の人の人生を生きずに、自分の魂の目的に従い生きるということ。 それを行うには、
①自分のDharma(魂の目的)が何かを知る。 ②それを精一杯やる。 ③結果にこだらない。
という事をしなさい、と。
③の「結果にこだわらない」というのは、 自分勝手な執着をしないことであり、
結果が成功でも失敗でも、同じように受け取りなさいということで、
その「執着しないことにパワーがあるのだよ」と言っているのです。
(この本は、バガヴァッドギータについて書いている本でもあり、これはカルマヨガのお話なのです)。
例えば私たちは、
仕事や勉強、人間関係においても、行動の結果について考え出すと、
「これで良いだろうか?」 「自分は充分だろうか?」 「勝者になれるだろうか?」
という疑いや不安が常にが生まれてきてしまう。
そのように結果にこだわって行動すると、 パフォーマンス(行い)は、うまくいかないことが多いのです。
結果にこだわり行動する人は、
「みじめ」で「心配ばかりしている」と、著者は書いています。 (バガヴァッドギータのクリシュナの言葉として)。
結果に強迫的に執着しなくなった時に初めて、行いに100%集中できます。 なぜなら、結果のことを考えないことで、
すべてのエネルギーが、今行っている行為にいくことができるからです。
では、「望みを持つこと」は良くないのか? ヨガの練習者たちは望みを持つことを、
・貪欲になる ・恋い焦がれる ・志を持つ
と分類しました。
貪欲や恋い焦がれる気持ちは、苦悩を産みます。 だけれど、志を持つのは、悪いことではない。 そしてその志(大志)を達成するには、最初に挙げた
①自分のDharma(魂の目的)が何かを知る。 ②それを精一杯やる。 ③結果にこだらない。
というのが必要だと。。。
やらなきゃいけないことを、一生懸命やり、結果は手放せと。
しかし、気を付けなければいけないのは、 「貪欲」が「大志」に見えることも、
「大志」なのに「貪欲」だと間違えてしまうこともあったり、 「大志」がいつしか「貪欲」になったりすることがあるというように、 それらを見分けていくのがとても難しいというのです。
だから Stephen Cope は、この課題は一生の課題だと言っている。

結果にこだわるのは、
「時間」に囚われる私たちの心のせいでもあります。
結果というのは、先のことであり、 先のことを考え、うまくやろうとすると、心がラジャス(刺激的・攻撃的な性質)になる。 (逆に思考が過去にいくと、心はタマス、暗質になりませんか?)
サットヴァ(純質なもの)というのは、
やはり自分が「今」に存在していないと感じることができません。 サットヴァな状態(安定してリラックスしている)で行動をしていると、
結果がどうであっても構わなくなり、
この「構わない」という感覚がきっと、
離欲(ヴァイラーギャ)なのではないかな~、と思いつつ・・・。
離欲か~、できないけど、ま、いいか、と、今年も終わっていきそうです。
